最初の引越しは渋滞に巻き込まれ想像以上に時間がかかった。
まずやらなくてはならないことは各自の引越しである。 最初は引越業者を使おうかとも考えたが、調べてみるとそれなりにお金がかかる。 当時は貧乏学生とまでは行かないまでも、親からのお小遣いとアルバイトで生計を立てている状態だったからできるだけ出て行くお金は最小限にとどめたかった。 結果として決まったのは友人が持っている車を使って、皆で協力して荷物を運ぶという方法であった。 引越しは埼玉班と神奈川・東京班に分かれることにした。 車を持っていたのは二人だったのでそれぞれの車にそれぞれのメンバーを乗せて運ぶことにしたのだ。 埼玉班は2名、東京・神奈川班は3名だ。 私は東京・神奈川班だったが、最初に引越し先から最も離れていた私の家から引越しを開始することになった。 私の荷物はというと決して多くはない。 まず寝るための布団一式と、勉強机兼食卓であるお気に入りのこたつ、ダンボール2箱分の洋服、それに身の回りの小さな小物だった。 洗濯機や冷蔵庫はもともと持ってなかったが、埼玉に住んでいる友人が実感に余っているということだったので、それを共同で使うことになっていた。 だからこれだけの荷物で済んだわけだが、車に乗せてみると想定外の事態が発生した。 なんと荷物が乗るか乗らないかギリギリのところで、後部座席に座っていた友人が荷物に押しつぶされるような格好になってようやく収まったのだ。 本当は3名の家に順次回って荷物を乗せて引っ越しをするつもりが、あろうことか最初の1名で身動きがとれない状況だ。 やむをえず私たちは一旦引越し先まで荷物を運び、積荷を降ろしてから次の友人の家に向かうことにした。 私たちは悪くはないがそんなに真面目でもない大学生だったので、引越しをした日は平日だった。 大学の授業はというとその日は勘弁していただいた。 平日の東京の道は混む。 246号線をひたすら北上し東京を目指す。 高速道路を使えばもう少し早かっただろうが、当時はお金のない学生だ。 当然下道をひた走る事になる。 山手通りを抜けて池袋にある引越し先についたの頃にはもう日が暮れようとした。 急いで荷物を降ろすともう一度神奈川に向かうことになった。 池袋を出発し、新宿を抜け、渋谷を抜け、神奈川は横浜まで行かなければならない。 会社も終わり帰路に付く人も加わった道は日本で一番混んでいる道なのではないかと思われるほど車で溢れ、渋谷についた頃には夜、横浜についた時にはもう深夜に近かった。